日本最古の靴下
日本で初めて靴下を履いたのは誰?
 
現代の日常生活において靴下は欠かせないものです。昔の日本の人たちはどのようにして足を保護していたのでしょうか。

日本における靴下の起源は、中国から5世紀頃に伝わった襪(しとうず)と呼ばれる足袋に似たものとされています。親指が分かれていない履物といわれていて、伸縮性のない布で作られていてきんちゃく袋のように足首でしばる紐が付いています。現代においても重要な伝統的儀式で使われる場合もあることから、当時も一部の特権階級の人間のみ身につけることができたようです。
 
足袋(たび)
 

襪(しとうず)よりも一般の人々に使われるようになったのが足袋(たび)です。足袋は平安時代に生まれ、草履が一般庶民に普及するのと共に広まっていきました。最初は動物の一枚皮を用いて作られていたことから単皮 (たんぴ)と呼ばれていました。

「単皮」が次第に「足袋」と書かれるようになったのは室町時代。素材が皮革から木綿に変わっていったのは江戸時代と言われています。

現代、私たちが日常で履いている伸縮性のあるニット(メリヤス)編みの靴下が日本に登場するのはいつ頃だったのでしょうか。

メリヤスの語源は、スペイン語のメディアスまたはポルトガル語のメイアスで、どちらも靴下を指す言葉です。

日本の書物に「メリヤス」が初めて登場したのは江戸時代、延宝年間(1673-1681)のこと。「唐人の古里寒くめりやすの足袋」という句が残っています。

 
 


徳川光圀のメリヤス足袋(複製品) :株式会社ナイガイ 所蔵

水戸黄門として知られる徳川光圀も、メリヤス足袋の愛用者。日本で初めて靴下をはいた人物とも言われていて、愛用の靴下が東京国立博物館に残されています。また、株式会社ナイガイによって再現された複製品があります。こちらは実物の拡大写真で目数を確認して製造したもので、忠実に再現するのに1ヵ月以上を要したそうです。
 
近年では注目を浴びたソックスの一つにルーズソックスがありますよね。
ルーズソックスの発祥地域について、宮城県仙台市を発祥とする説や茨城県水戸市を発祥とする説など国内発祥説でも場所が異なっています。

元々はアメリカ合衆国で製造され輸出されていた登山用の靴下「ブーツソックス」を起源とし、90年代に日本の女子高生が学校の制服着用の際に履くソックスとして普及したとも言われているようです。

ルーズソックスの起源については諸説さまざまあるようですが、はっきりとした起源はわかっていません。


 
私たちがあって当たり前だと思っているものも、元を辿ると長い年月をかけて少しずつ進歩してきたことがわかります。

(コラム:2024年 5月更新)